視聴アニメ一覧『ココロコネクト』第八話の感想・批評・レビュー・考察
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http://p.tl/fPgT原作:庵田定夏
監督:大沼心
キャラクターデザイン:赤井俊文
シリーズ構成:志茂文彦
音楽:三澤康広
放送期間:2012年7月 -
第八話「そして誰もいなくなった」
今回のお話:
・誰もいなくなった、ようでいてくれる人もいた
・欲望解放って気持ちいい
■誰もいなくなった、ようでいてくれる人もいたタイトルは「誰もいなくなった」で、
文研部の面々が離れていく姿が描かれました。
他方、太一の周りには、渡瀬、藤島、後藤先生がいたことが「発見」されます。
この第八話で端的に示される「要素」は、
『ココロコネクト』が、バトルアニメと同じ系譜に属することを示していると思われます。
その要素とは、コミュニティ全体のシリアスな問題に、
メンバーが協力しながら立ち向かっていく、というものです。
まず、第八話で起こったことをコミュニティに注目して追っていくことで、
コミュニティ全体がシリアスな問題を抱えている点を確認します。
■シリアスだからこそ揺れるコミュニティ第八話まで、ほとんど文研部の5人だけが注目されていました。
「人格入れ替え」や「欲望解放」といった特殊な現象は、
文研部の5人だけに起こるのですから、当然です。
それが第八話では、5人以外の外部に視線がうつります。
5人だけに起こった現象「欲望解放」が、
親しい人間にダメージを与えやすかったため、5人が仲違いしてしまい、
文研部というコミュニティを避けるようになったからです。
このように、5人が文研部を避ければ、
自然に外部との付き合いが始まります。
実際に描かれたのは、太一と、渡瀬、藤島、後藤先生です。
こうして、文研部の5人、
という本作においては、秘密を共有し合っている最も強固なコミュニティが崩れていきました。
それほどまでに「欲望解放」という現象は強力であり、
コミュニティを崩さざるを得なかった程、5人はシリアスに考えていたのです。
■バトルアニメと通じる要素ある意味、本作は結構珍しいケースかもしれません。
主人公の周りが主人公から離れていって、代わって脇役が入ってくるだなんて。
たいてい、主人公が逃げ出すとかで、他のコミュニティに接することになり、
いろいろ学んで戻ってくるというケースですから。
『ガンダム』でアムロは、ランバ・ラルと出会う。
『エウレカセブン』でレントンは、チャールズとレイの白鳥号で過ごす。
『エヴァ』でシンジ君は、ケンスケのサバイバルゲームに遭遇する。
(この頃はケンスケと全然仲良くなかったからカウントしました。ケンスケに限らずの時期だけど)
こういうのは話型として確立しているもので、
主人公が旅に出ることで成長が分かりやすくなるのです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Monomyth
このアニメのリストは、有名どころで、
ぱっと思い出せるものを挙げた結果ですが、
見ての通り、主人公が世界の行く末を左右するロボットバトルアニメです。
なぜ、こういったアニメでは、主人公が逃げるのか。
その理由は単純で、「主人公が所属するコミュニティ全体で、真面目に悩む」という構造があるからです。
この構造においては、コミュニティの他の構成員は、
「主人公も自分達と同じようにこのコミュニティの存続に責任の一端を負っている」と見なしています。
しかし、「未熟な」主人公は、それに反感を抱き、ドロップアウトすることになります。
日常系アニメの『らき☆すた』や『けいおん!』や『日常』では、真面目に悩むことがありません。
だから、ドロップアウトもしませんし、成長もしませんし、それが求められていません。
『ココロコネクト』では、太一が悩み、
そんな太一に対して、藤島さんが傷つけ合って当然であることを示唆してくれるのです。
つまり、『ココロコネクト』は、
絵は『けいおん!』でも、
文研部というコミュニティに共通の、
ふうせんかづらからの唐突な攻撃にいかに対抗するか、という真面目な悩みを扱った、
『ガンダム』や『エヴァ』の系譜に連なるアニメであると言うことができます。
この構造は、あくまで本作の一要素に過ぎませんが、重要な要素です。
なぜなら、面白さのエッセンスを、この要素に込めているからです。
すなわち、コミュニティ全体のシリアスな問題に、
メンバーが協力しながら立ち向かっていく、という要素です。
■欲望解放って気持ちいい『ココロコネクト』の面白さのまた別の要素は、
心に抱えた秘密が、暴露されてしまう、というところにあります。
この第八話でも、太一と青木の口論がありましたが、
これを見て、わたしたちは、
心が冷え冷えとするやるせなさを感じるのですが、
一方で、この心に秘めた「汚い」部分を表出する口論が面白くて目が離せません。
経験がある方もおられるかもしれませんが、
「これは言わない方がいいだろうな」と思っていることを、
キレて「お前だって、お前だって!」とぶちまけるときの感覚、
胸が締め付けられ、血液が頭からひいてしまい、体温が下がるようでありながら、
もう止められない感覚。
この暗い快感を執拗に狙っているのが、
心を標的にした本作なのでしょう。
この要素を持つアニメは、たとえば『とらドラ!』であり、
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』であるわけです。
その意味では、本作は、キレ芸というか、暴露系の系譜にも連なると言っていいかもしれません。
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- 2012/08/26(日) 12:45:33|
- ココロコネクト
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